お知らせ NEWS&TOPICS

コラム 2024/12/09
田川基成写真展『海の記憶』— 故郷への旅路が映し出す、長崎の島々と人々の物語

こんばんは、長崎の海と記憶を巡る田川基成さんの写真展『海の記憶』をご紹介します。

福岡市中央区にある「本と写真 リブリスコバコ」で、写真家・田川基成さんの写真展『海の記憶』が12月7日(土曜日)より開催中です。
この展示では、田川さんが自身の故郷である長崎県の島々や海辺を巡りながら中判フィルムで撮影した写真作品が並びます。
さらに、作家本人が書き下ろしたエッセイも併せて公開され、作品と文章を通じて田川さんの旅路と記憶を深く味わうことができます。
 

写真展の見どころ:中判フィルムが捉えた故郷の記憶

田川基成さんが幼少期を過ごした長崎の離島。複雑なリアス式海岸線や数多くの島々が広がるその地は、彼の記憶と創作の源泉です。
今回の展示では、波の音や潮の香りを想像させるような写真が多く並び、観る者を田川さんの「故郷の旅」へと誘います。

 

また、田川さんが実家を離れてから約20年後に撮影を始めたこれらの作品には、離れたからこそ見えてくる風景の美しさや人々の営みが詰まっています。
彼の視点が生み出す「初めて見るのに懐かしい風景」が、訪れる観客の心を揺さぶることでしょう。
 

田川基成の作品に込められたテーマ

田川さんの作品は、単なる風景写真にとどまらず、「人と土地」「移動と記憶」という普遍的なテーマに迫ります。
幼少期の思い出、島と島を結ぶ船旅、出会った人々との交流。
これらの要素を丁寧に紡ぎながら、田川さんは「海と人」の関係性を探求しています。

 

田川さん自身の言葉を借りるなら、長崎の海は「見る、見られるを延々と繰り返す環世界」。
その中で、撮影を通じて描き出されるのは、海を渡る人々の営みと、それを見つめる故郷への愛情です。
 

エッセイとのコラボレーション:写真が語る、言葉が伝える

写真展『海の記憶』では、田川さんの作品とともに、書き下ろしエッセイも公開されています。
写真が視覚を刺激する一方で、エッセイは記憶や感情を深掘りします。
写真だけでは感じ取れない田川さん自身の旅の思い出や、故郷への愛が、観客の心にさらに深く響く展示構成です。
 

田川基成の軌跡と実績

1985年に長崎県西海市の離島で生まれた田川さん。
北海道大学を卒業後、編集者や記者としてのキャリアを経て写真家となりました。
代表作には、バングラデシュ移民家族を追った「ジャシム一家」や、故郷・長崎の海を描いた「見果てぬ海」があります。

 

これまでに日本写真協会新人賞や三木淳賞を受賞し、最新作『密航のち洗濯』では第46回講談社ノンフィクション賞を受賞。
今展は、田川さんがこれまで積み重ねてきたテーマを深化させる一環といえます。
 

展示会情報

開催期間:2024年12月7日(土曜日)~2025年1月19日(日曜日)

休廊日:火曜日・水曜日(祝日営業)、年末年始(12月23日~1月9日)

時間:13時~18時

場所:本と写真 リブリスコバコ(福岡市中央区大手門3-2-26 田中ビル401)

アクセス:福岡市地下鉄 空港線「大濠公園駅」4番出口から徒歩2分

入場料:無料

 

お問い合わせ

メール:info@libris-kobaco.com
 

おわりに

田川基成写真展『海の記憶』は、彼の故郷への深い思いと、そこから派生する普遍的なテーマに触れる貴重な機会です。
写真と言葉が織りなす世界を、ぜひ会場で体感してください。

前のページへ戻る