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こんにちは♪
高層ビルが立ち並ぶ福岡・天神の中心地に、ひときわ優美な洋館が佇んでいるのをご存じでしょうか?
それが今回ご紹介する「旧福岡県公会堂貴賓館」。
現在は国指定重要文化財となり、天神中央公園の一角に静かにたたずんでいます。
実はこの貴賓館、福岡が近代都市へと歩み始めた出発点となった「共進会」の象徴的な建物なのです。
かつての賓客たちが歩いた床を踏みしめながら、明治の息吹を感じるひとときをご一緒に巡ってみませんか?
◆「共進会」──福岡が近代都市になるきっかけとなった一大イベント
旧福岡県公会堂貴賓館の誕生は1910年(明治43年)に遡ります。
この年、福岡では第13回九州沖縄八県連合共進会が盛大に開催されました。
共進会とは、各地の産業や物産を展示して交流を促し、技術の向上や地場産業の発展を図る目的で始まった産業博覧会のようなもの。
福岡での開催は、九州近県から多くの来賓や観客が集まる一大イベントであり、福岡が「商業都市・博多」と「城下町・福岡」として融合し、現代都市へと成長する礎となったといわれています。
その共進会の来賓接待所として建てられたのが、今回の主役旧福岡県公会堂貴賓館なのです。
◆建築家・三條栄三郎が手掛けた、明治のフレンチルネサンス様式
この優美な洋館を設計したのは、福岡県土木技師だった三條栄三郎(1872〜1935年)。
東京工業学校工業教員養成所卒業後、各地の工業学校教員を経て福岡県に15年間在職。
県内の重要建築や文化財修理を多く手掛けた名技師です。
貴賓館の建築は、明治時代の洋風建築の粋を集めた「フレンチルネサンス様式」。
◆ フレンチルネサンス様式の特徴
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急勾配の屋根
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ドーマー窓(屋根窓)
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八角形の塔屋
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水平方向のラインを強調した外観
パリのルーブル宮殿やシャンボール城にも通じるエレガントなデザインが採用されており、福岡の街に西洋の風を吹き込んだ存在でした。
◆建物の歩み──市民の保存活動が守った“明治の記憶”
■ 共進会の賓客接待所から、県民に開かれた空間へ
建物は竣工後すぐに、閑院宮ご夫妻の宿泊所として使用されました。
共進会開催中は華やかな夜会や来賓接待が行われ、福岡社交界の舞台ともなりました。
その後は県の公会堂、高等裁判所、農林事務所、教育委員会庁舎と用途を変えながらも、長年にわたり県民の活動の場として親しまれてきました。
■ 一時は取り壊しの危機も──市民の声が文化財指定へ導いた
昭和56年、福岡県庁の移転に伴い、跡地は都市計画公園(天神中央公園)として再整備されることが決定。
当初は貴賓館も取り壊される予定でしたが、市民団体「旧教育庁舎現地保存期成会」が保存を強く訴え、街頭署名やシンポジウムなど地道な活動を展開。
その結果、昭和58年に現地保存が決まり、翌昭和59年に国指定重要文化財として正式に認定されました。
この建物が今も私たちの目の前にあるのは、市民の“まちの記憶を守りたい”という情熱のおかげなのです。
◆建物の外観と内部の見どころ
■ 外観
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木造2階建ての洋館
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正面玄関には石柱のポーチが堂々と構える
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北東隅には印象的な八角塔屋
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白い化粧タイルとモルタル壁で石造風の上品な仕上がり
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修復により天然スレート葺の屋根や煙突も当初の姿に復元
■ 内部(公開エリアあり)
内部は現在も一般公開されており、明治の面影漂う優雅な内装を楽しめます。
当時の華やかな迎賓空間や、高い天井、繊細な装飾が施された建具など、細部まで見応え抜群。
歴史解説パネルも充実しており、福岡の近代化とともに歩んだ貴賓館の物語にふれることができます。
◆アクセス情報
住所
福岡市中央区西中洲6-29(天神中央公園内)
アクセス
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地下鉄空港線「天神駅」徒歩約7分
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地下鉄七隈線「天神南駅」徒歩約5分
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西鉄バス「市役所北口」「天神中央郵便局前」すぐ
◆まとめ|まちの真ん中で“明治の時代”を体感する特別なひととき
高層ビルが立ち並び、活気ある天神の真ん中に、明治の華やぎを静かに伝える旧福岡県公会堂貴賓館。
その存在は、福岡が近代都市として歩み始めた時代の記憶そのものです。
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建築の美しさを堪能するもよし
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市民によって守られた物語に想いを馳せるもよし
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公園散策の合間に立ち寄って、明治の空気を感じてみるもよし
あなたも次回天神を訪れた際には、ぜひこの美しい洋館の扉を開けてみてください。
きっとそこに、時を超えた小さな感動が待っています。